EAU DE PARFUM

EAU DE PARFUM

5Rという言葉が好きだった。
色相環のはなし。5Rはいわゆる赤を表している。

前職で商品開発に携わっていた頃、色を測り、商品化した色の蓄積とトレンドの傾向を把握するのは仕事のひとつだった。
色という色は何でも測った。
口紅もアイシャドーもマスカラも、個体、液体、何でも・・・。
その数値はデータ化され、そこから様々な情報を読み取り、
商品開発の一助となった。
ただ、パールのニュアンスだけは違った。

パールは輝きを放つ原料であり、色を左右する基にもなる。
ベース色に背反する色調の大きなグリッターパールを配合すれば表面的に点在する宝石のようにも見え、細かいパールであれば、まぶたの上で明るく透明感を放つ控えめな原料となる。
パールのマジックは優雅であり魅惑的で、数値を超えたニュアンスの表現に、
私は魅了された。

化粧品会社を経て、バッグブランドをはじめて12年目。
振り返るとずっと女性のことに関わってきた。
今回、香水をつくることもごくこく自然な流れだったと思う。
イメージした香りを徐々にフォーカスしていく作業は、
あの頃を思い出させてくれてとてもワクワクする毎日だった。

モニター調査で出会った吸い込まれるような
エメラルドグリーンの瞳をしたドイツの女性。
透けるような金色の髪をしたクロアチアの女性。
バカンスで日焼けした肌とそばかすが自慢のイタリアの女性。
そんな女性達を思い浮かべながらこの香りをつくった。
試行錯誤しながら作業を進めていたある日、パールのニュアンスのように自由でいて宝石のような輝きを纏った香りが現れた。

記憶と香りが繋がった。

Coquetteデザイナー 林きょうこ(2015年11月発売)

KYOKO HAYASHI

KYOKO HAYASHI